生態系を活用した気候変動の緩和策と適応策の統合アプローチ(森章准教授、佐々木雄大准教授)
生物多様性を育む自然⽣態系は、一次生産などを介して炭素蓄積や気候調整などの機能を持つと同時に、気候変動がもたらす気温上昇、海⾯上昇、⾼波、⼭⽕事等の⾃然災害リスクの削減効果を持ちます。そのために、⽣態系の保全は、気候変動問題に対する緩和策と適応策の両者に有効と考えられています。現在、費用対効果が高く持続的なアプローチとして注視されており、国際政策や経済の枠組みでも強く推進されつつあります。他⽅で、⼈間活動による現世代の経済利益と、⽣物多様性および⽣態系サービスの喪失がもたらす将来世代も含めた⽣態リスク増⼤との間にはトレードオフが存在します。複数の政策シナリオによる今後の⽣態系サービス変化の将来予測、全球的及び局所的な緩和策と適応策の両得及び得失相反の関係を明らかにし、統合策への⼀助とします。そのために、陸域や沿岸域の⽣態系の強靭化または脆弱化がもたらす気候変動の緩和と適応の可能性を模索することが求められています。当プロジェクトでは、自然を基軸にした気候変動対策の統合を目指しており、人間社会が生態系から受ける「自然の恵み」としての⽣態系サービスへの影響評価を行っています。
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成果:降水量操作と生態系機能
- 各地域の100年に1回の旱魃を想定
- 世界中で同じプロトコルで旱魃実験
将来的な陸域生態系の応答評価
コロラドでのWS参加
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Sasaki et al. 2019, Journal of Ecology; Okada et al. in prep. ; Kondo et al. in prep.
成果:生物多様性と土砂災害リスク
樹木種数が高い地域は、土砂流出量の予測精度が上がる
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Kobayashi & Mori 2017, Environmental Management
成果:土地改変による生物多様性への影響
土地利用モデルから土地改変速度を推定
→潜在的な生物多様性ホットスポットの検出
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Kobayashi et al. 2019, Biological Conservation